燃えぬごみの日記

ちょー不定期です。書きたいときは書きます。

落語心中について(書評になっていない書評)

こんばんは

 

そして、一週間お疲れ様です。

 

1日1記事って難しいですね。

 

根多(ネタ)を見出すのに苦労します。

アンテナがもっと精度を増すよう日々研鑽していきたいと思います。

 

ということで、今日は最近ハマっている漫画のお話です。

 昨日発売されたばかりの最新刊もとても面白かったので紹介したいと思います。

昭和元禄落語心中(5) (KCx ITAN)

昭和元禄落語心中(5) (KCx ITAN)

 

 

 昭和元禄落語心中とは、講談社より刊行されている「ITAN」にて連載中の

雲田はるこ先生の作品です。

 

この作品は、文化庁メディア芸術祭マンガ部門の優秀賞にも選ばれている作品で、

以前には、この漫画がすごい!!オンナ編の2位にも輝いており、

マンガ好きであれば名前は知っているかもしれません。

 

話は、時の大名人八代目有楽亭八雲と、刑務所落語慰問会で八雲に一目惚れし

弟子入りした与太郎を軸として話が回っていきます。

 

読み進めて私が心を奪われたのが、八雲の艶やかさです。

八雲は初老の、見た目は地味で痩身な、男性です。

しかし性格の方は、名人という孤高であるがゆえの高慢さや、

かと思えば気まぐれに人を振り回してみたり気むずかしいお人です。

ですが、口座に上がると高慢さや奔放さが「艷」となって浮かび上がるのです。

 

話の中に八雲が高座に上がるシーンは幾度と無く出てきます。

そこで登場人物たちは、八雲の噺に顔を上気させて聞き入っているのですが、

ただ噺に聞き入っているというのとは違う、例えば恋する乙女のような顔で

見とれているのです。

 

それはセリフでも現れています。

「応挙の幽霊」という噺を八雲が演じるのですが、

そこに出てくる元芸者の幽霊を演じる八雲に対しため息をつきながら、

「ぼくもあんなふうに演じてみたい・・・・・・・・・・

  というかあんな女と寝てみたい・・・・・・・・・・・」

そして、ははっとごまかすように笑いながら

「・・・・・くらい思わされる芸やァゆうことやなァ」

というのです。

 

この本の中にはこのように八雲のファン、もしくはそれ以上に思っている

人たちがたくさん出てきます。そして与太郎に嫉妬します。

 

では、次の魅力である与太郎のストレートさについて話をしていきましょう。

 

まず、与太郎とは芸名であり本名ではありません。

与太郎とは落語の噺によく出てくる登場人物で、呑気で楽天的。何をやっても

失敗ばかりする人物像として出てきます。

 

この話の与太郎と八雲の出会いは、

八雲に弟子入りしようとしてお付きの運転手に話をし、

八雲は弟子を取らない主義だということを初めて知り困って泣いてしまい、

運転手に仲を取り持ってもらおうと詰め寄っているところで八雲が出てきて、

「やっとあえたー」と抱きつくところから始まります。

 

この楽天家ぶりがまさしく与太郎というわけです。

そしてこの時、八雲の「なんなんです この与太郎は。」という一言から

与太郎の名が与えられます。 

 

そんな与太郎だからこそ八雲も一番弟子にとったのだろうと思います。

まあ、これも八雲の気まぐれということもありましょうが。

  

そして、他の登場人物と違うところは裏表のないということです。

皆それぞれ心に仕舞ってあるものがあり、それがそれぞれの関係を

錆びついた歯車のように固めてしまっています。

しかし与太郎はそんなのはお構いなしで思ったことを口にし、

行動に移すことでその歯車を無理やり回してしまうのです。

 

そんな姿を見るにつけ、ハラハラさせれたり与太郎と一緒にほっとしたりして

ついつい応援したくなってしまうのです。

 

ここまでストーリーをメインにお話してきましたが、絵柄も上手でいて可愛く、

表情豊かな与太郎や、ぞっとするほどの目つきで見てくる八雲師匠、優しい

松田さんなどなど、メインの他にもついついファンになってしまいそうな

キャラクターたちがたくさんいます。

 

 

もしちょっとでも興味を持ったら読んでみることをおすすめします。

 

昭和元禄落語心中(1) (KCx ITAN)

昭和元禄落語心中(1) (KCx ITAN)

 

 

この漫画と落語を好きになってもらえると私や、与太郎や八雲も喜んでくれることと

思います。